Q&A

ホームの特徴は何ですか?

「自由なホーム」「厳しくないホーム」と言われることもありますが、みんなバラバラで緩るゆる(ユルユル)ということではなく、職員も含めて仲間のつながりを大切にした絆の中の自由な雰囲気かと思います。

細かいルールはありませんが、仲間とのつながりを大切に思うところから、自然と生まれてくるお互いの了解ごとがあります。

上から命令されるルールよりも、自分の心から出てくる配慮を大切にしています。

また、なんでも「おっけー、いいよ、いいよ、なんでもオッケー」というわけでもありません。そのようなことは、やさしさというよりも、ただ気持ちが薄く軽いだけかと思います。まず急がずに待つこと、ひとり一人の時間軸で歩むことを大切にしていますが、お互いに向き合うべき時に向き合うのが、本当にその人を大切にしていることだと思います。

ホームでの暮らしのコツはなんだろう?

ひとり一人の個性が違って、だれひとりとして同じ人はいません。本に書いてあるとおりの人はいないので試行錯誤で経験の積み重ねが大きいと思います。

現実のひとり一人との関わりの中では、職員ひとり一人の持ち味や、持ち合わせの直感や感性が必要な部分が多々あります。

ホームの仲間もスタッフも含めて、お互いに関わりが多いほど、お互いに受け取るものも、共有できるものも多いということです。ひとり一人の個性で、近しい距離がいい人も、少し離れた距離感がいい人もいます。単純な時間の多さとは違うのですが、分かち合うものが多いほうがより実りがあります。

衣食住のサポートだけ受けて自分だけの世界で生きた時間が長い人は、ただ生活の補助があったという程度にしかならないようです。でも、人とのつながりの中で暮らした人は、同じ時間を過ごしても、何かがその人のこころの中で、お互いの中で育っていきます。

関わりが薄かった人は、ホームで共有できるものもそれなりの密度しかなかったようで、ともに過ごす時間、分かち合う時間の大切さを改めて振り返りました。

家賃など入居にかかわる経費はいくらぐらいですか?

家賃は生活保護の住宅扶助額を基準に設定しています。ただし、建物によって家賃額は異なります。

食費も含めての総額として、おおよそ障害基礎年金2級の範囲内で暮らせる想定で設定していますが、建物や居室の条件によっては家賃額が異なることと、水道光熱費等は使用量によって増減しますので、目安としてということになります。

ホームの支援の範囲は決まってますか?

「ホームの職員はこの範囲内しかやらないので、あとは、他の福祉サービスや外部のサービスでまかなってください」ということはありません

私たちのホームでは、家族だったらこのようであろうという基準で動いていますので、ホームの仲間たち一人ひとりの必要に応じて、一緒に通院したり、買い物に行ったり、金銭管理をしたり、年金の申請をしたり、行政関係の手続きをしたり、裁判所や破産手続きの類、一緒に旅行に行ったりと、割と自由に動いており、制限はありません。ひとり一人にとって必要なことは何かな?という視点での個別の支援方針を基準として動きます。

通院や買い物、年金や行政での手続きなど、どうしたらいいの?

病院への通院、行政での手続き、年金の申請、行政での手続き、時には裁判所や法律関係の手続きなども、一緒にやることが多いです。

買い物は、みんな自由に行っていますが、必要な人は一緒に行くようにしています。いずれも、自然な流れで一緒に行ったりしますので、もちろん交通費などの経費はかかりませんし、専門知識が必要な場合は、善意の弁護士さんにアドバイスをいただくなどして、一緒に書類なども準備します。

院など外部のサービスに委託すると、どうしても、その時しか来ないヘルパーさんや訪問看護師さんだと、本人の日々の生活を知らないし、外向きの関係性しかできていなかったりしますので、病院で主治医との細かいコミュニケーションが取れません。特に、精神科や健康や生命の維持にかかわる内容の場合などは、医師や病院との申し送りが大切ですので、一緒に行くことが多いです。

もちろん、本人が親しい好きなヘルパーさんががいたりすれば、そのヘルパーさんとの外出は楽しみですから、それも生活の広がりがあってよいと思います。本人が希望すれば、個人的に外部のサービスを利用したらよいと思います。実際に、数名は、ヘルパーさんと移動支援等で出かけたりしています。

あと、感染症などの緊急時や、健康状態によっては、本人と相談のうえで医師の往診や訪問看護さんに定期的に入っていただくこともあります。

家賃とは別に特別な費用などは掛かりますか?

生活において追加で都度課金されるようものはありません。

私たちのホームでは金銭管理にかかわる費用や交通費などももらい受けることはありません。例えば、ひとり暮らしを目指すホームなどの場合には、動くことに経費が掛かるというのも自立に向けての練習になるかと思いますが、私たちのホームの場合、ここでの生活がベースとなっている仲間が大勢を占めていますので、家庭の暮らしという位置づけということで、家族か親戚、身内の感覚で一緒に動くことを大切にしていますので、ホームの暮らしの中で、都度経費が発生するような仕組みは採用していません。

水道光熱費を極端に多く使用する場合は、他の人と平等にするために、その分の負担が必要な場合がありますが、通常の生活の範囲内では、そのようなことはありません。

ホームで暮らせる基準はありますか?

私たちが大切にしている基準は、仲間を大切に思う気持ちがあるかどうかです。

親しさは、ひとり一人の個性とともに、距離感も違って、濃い薄いもあります。しかし、それぞれの距離なりに、仲間を思う気持ちは大切だと思っています。それともうひとつのポイントは、自分が暮らす住居の仲間たちと一緒に暮らせるかどうかという点です。

ちょっと暴れました、警察にお世話になりましたなど、そんな理由だけでホームから追い出されるというようなことはありません。それよりも、仲間たちから受け入れられるか、そこの居住空間でみんなとそこそこ平和に暮らせるか、自分だったらその人と一緒に暮らせるか?を目安に考えてみたらよいと思います。

あと、自分は好きなようにしていたいので、自分が必要な時以外は関わらんといてほしいなぁ、、という人の場合は、ここのホームは向いていないかもしれません。一人暮らしに近い環境でも、周囲の仲間を思う気持ち、つながりは大切だと考えています。

入居している仲間たちの家族会などはありますか?

ホームの仲間たちで、親族がいない人、家族関係の諸々の事情でなかなか会えない人もいますので、私たちのホームでは、特に入居している仲間たちのご家族さんとの改まった交流のイベントなどは設けていません。

もし、ホームの仲間たちのご家族さんで、本人を訪問したい方、一緒に外出したり外食したい方、実家に帰省するなどありました、それも素敵なことですので、ぜひ個人単位で行っていただけたらと思います。もし、ホームでの暮らしの様子などお聞きになりたい場合は、本人の了解を取ったうえで、お話できますので、お気軽にご一報ください。

ホームに入ったら、何か生活訓練とかやって、生活力が向上するとかあるの?

不思議なことですが、仲間とともに暮らしていると、本人の中から何かが開かれていきます。自然と笑えるようになってきたり、冗談が言えるようになってきたり、暴れなくなってきたり、たくさん話せるようになってきたり、生活を整えていったり、、、これは、ひとり一人の時間の流れが違うので、早くに芽を出す人もいますが、ゆっくりと数年越しで花が開いていく人もいます。大きな花だったり、いくつものかわいらしい小さな花だったり。本人の底力が湧いてくるのに、ひとり一人にとって必要な時間の流れがあるようです。

この類の、積み上げてきて育っていく力は、取って付けたものではないので、本当の自立の底力になっていくと感じています。これは、共同生活の醍醐味の一つでもあります。ただし、経験上、周囲とのかかわりが薄ければ薄いほど、この実を結ぶ速度が遅く、なかなか進展がない場合が多いということです。周囲とのかかわりの質によって、みのる実も、咲く花も影響を受けるわけです。

本当に一人暮らしの環境が向いている人もあると思いますが、人生の一時でも、共同生活に身を置いてみるのもその人にとって有益な場合があります。いつまでも、進展がない人の場合、もしかしたら、暮らしの環境が合っていないかもしれません。一時はストレスも感じるかもしれませんが、周囲との関わりを見直してみてもいいかもしれません。一歩踏み出して自分の世界が開かれるために必要なストレスもあるかもしれません。そんな視点も必要かと思います。

ご家族さんにおきましては、本人の生活が向上するのが遅いかな?と思われるときもあるかもしれませんが、まずは本人と信頼関係を築くこと、本人の思い込みが解消されていくこと、成功も失敗も本人の挑戦の中で体験して、そこへの振り返りと気づきがあること、そしてタイミングを重視していますので、もしその点をご理解いただけたらと思います。